解剖生理学5 泌尿器・生殖器・内分泌

解剖生理学5 泌尿器・生殖器・内分泌

1 泌尿器系

(1)泌尿器とは

吸収された栄養素は血液に溶け込み全身の各組織に建ばれ物質代謝を行います。その結果生じた老廃物は、ふたたび血液によっていろいろの器官(腎臓・肺・皮膚・肝臓・唾液腺など)に運ばれ体外に排泄されます。このうち尿の成分を血液中から濾過し尿をつくり排泄する器官の集まりを泌尿器と言います。これには左右の腎臓、左右の尿管、膀胱、尿道があります。

腎臓腎臓(Kidney)は、代謝活動によって休み無く生じる老廃物を含む血液を浄化するほか、酸延期平衡の恒常性を維持するためにも重要な役割を果たしています。

腎臓は、尿を生成する器官でもあり、位置は後腹壁で腹膜の後ろにあり第11胸椎から第3腰椎の高さにわたって左右に一対あります。右腎は左腎より少し低く、形はソラマメ状で暗赤色です。大きさは長さ約10cm、幅約5cm、厚さ約3cmで重さは約130gあります。

腎臓の内側のへこんだ部を腎門と呼び、尿管・腎動静脈・リンパ管・神経が出入りします。腎臓の表面は線維膜、脂肪被膜、腎筋膜に覆われ、腎臓の内部(実質)は、皮質と髄質からできています。髄質には十数個の腎錐体があります。その先端を腎乳頭といい、腎杯に取り巻かれています。腎杯は集まって腎盤(腎盂)となります。

腎錐体の中は集合管が走り、腎乳頭孔となり腎杯に開口しています。皮質には球状の径

0.1〜0.21mmの腎小体(マルピギー小体)と、それにつづく1本の尿細管があります。これを合わせてネフロンと言い、腎臓の構造の最小単位です。

腎小体は、1個の腎臓のなかに100~150万もあります。糸球体(血管の囲まり)と、それを包む糸球体囊(ボウマン囊)からなり、血液が流れる際に糸球体囊に濾過され原尿ができます。

尿細管は糸球体囊につづく長さ約4〜7cmの細い管で、近位尿細管、ヘンレのわな、遠位尿細管、最後は集合管に集まります。集合管は乳頭管、乳頭孔となり、腎杯に開きます。尿細管は原尿が流れてくると、水・糖・塩類などを再吸収して血液のなかに入れます。またアンモニア、クレアチニンを尿細管中に分泌します。

腎小体の入口の輸入管壁と遠位尿紙管(血管極近く)に傍糸球体装置がありレニンを分泌して血圧の上昇をはかります。

腎臓

腎臓の機能は、糸球体で濾過、尿細管で再吸収と排泄の作用により、血液中から分解産物や有害物質を取り除いて尿を生成します。その結果、血液のpHや浸透圧などの恒常性を保つ作用があります。また、レニンを分泌し血圧を上昇させます。

腎臓の機能として尿路をまとめると、糸球体での濾過の後、尿細管一集合管・乳頭管ー乳頭孔一腎杯・腎盤一尿管-膀胱-尿道となります。

(3)尿管

尿管(Ureter)は、尿を腎臓から膀胱に運ぶ管で、腎盤につづいて始まり、長さが約25〜28cm、直径が約5〜6mmの管です。腎門を出て後腹壁を下がって骨盤腔に入り、別々に膀胱底に開口します。管壁は粘膜・筋層(翔私外輪)・外膜の3層からなり、筋層は1分間に1~4回の蠕動を繰り返して尿を膀胱に送る作用をします。尿管には腎盤尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱開口部の3か所に狭窄部があります。

(4)膀胱

膀胱(Bladder)は、尿を一時ためておく筋性の袋状の器官で容量は平均500mlあります。一定量の尿がたまると尿意をもよおし膀胱壁が収縮して腹圧も加わって排尿を起こします。膀胱は骨盤腔にあって恥骨の後ろに位置し、男子は直腸の前、女子は子宮および膛の前にあります。膀胱底の内面に膀胱三角という部分があり、その両隅に尿管が開口し前下部から尿道が内尿道口をもって始まります。膀胱壁の内面は移行上皮で、その外側の筋層は内縦・中輪・外縦の3層をなしています。外表層は上部が漿膜、下部は外膜で周囲の器官と結合しています。

(5)尿道

尿道(Urethra)は、膀胱内の尿を体外に排泄する管で、男子では一般に長さ16〜18cmで内尿道口に始まり壁内部・前立腺部・隔膜部・尿道海綿体のなかを下行して外尿道口をもって外に開きます。女子の尿道は短く3〜4cmで膛の前壁を下がり膛前庭に開口しています。

(6)尿の生成

体内で生じた老廃物は血液によって腎臓に運ばれ、血液が糸球体を流れる間に糸球体囊で濾過され濾液(原尿)になります。この濾液が尿細管を流れる間に、体に必要な物質(水分・アミノ酸・ブドウ糖・ナトリウムなど)は尿細管壁から再吸収され血中に送られ、残りが尿となります。このようにして糸球体囊で濾過される濾液は1日約1800ですが、健康成人の尿の比重は約1.015,pHは6.0前後で、1日尿量はおよそ1,200~1,500mlです。これは濾液の約99%が尿細管壁から再吸収されるからです。この再吸収を促進するホルモンに下垂体後葉ホルモン(バゾプレッシン)があります。

(7)排尿

尿がある程度(250ml)たまると内圧が高まり膀胱壁が刺激され、それが大脳皮質に伝えられ尿意を感じます。同時に腰・仙髄の膀胱反射中枢に伝わり、仙髄から出る副交感神経(骨盤神経を経由)により反射的に膀胱壁を収縮させ、膀胱括約筋を弛緩させ排尿を起こします。逆に膀胱壁を弛緩、膀胱括約筋を収縮させ膀胱に尿をためるようにするのは腰髄からでる交感神経です。尿道括約筋は陰部神経に支配され、その収縮は随意的に調節されます。

正常な尿は淡黄色の透明な液体で弱酸性です。成分は水が95%で残りは固形成分(尿素、尿酸、クレアチニン、塩化ナトリウム、リン酸塩、硫酸塩など)です。

2 生殖器系

(1)生殖器系とは

生殖器系(Reproductive system)とは人類という種の保存のために機能し、性的な成熟を促すホルモンを分泌する器官の集まりを言います。器官は男女の区別があります。その機能は個々の個体の生命維持のためではない点で、他の器官系とは役割が異なります。

(2)男性生殖器系

男性の生殖器は精子をつくる①精巣と、それにつづく精路(②精巣上体、③精管、④射精管)、精液を分泌する生殖腺(⑤精囊、⑥前立腺、⑦尿道球腺)、陰茎から成り立っています。

男性生殖器

①精巣

精巣(Testis)は、陰囊内にある左右一対の梅の実大の器官で白膜に包まれ、実質は多数の小葉に分かれ(約250個)、小葉のなかに3〜4本の精細管があって精子(Spermatozoon)をつくっています。精細管の間に間細胞(ライディヒ細胞)があり、男性ホルモン(テストステロン)を分泌します。

②精巣上体

精巣上体(Epididymis)は、精巣の上端から後縁に付いており、中に1本の精巣上体管がうねっています。その長さは約6mにも達します。

③精管

精管(Ductus deferens)は長さ約40cmの管で、精巣上体管から精索の中を上がり、鼠径管を経て腹腔に入り、射精管へと移行します。

④射精管

射精管(Seminiferous tubule)は長さ40cmの管です。精管が膀胱底のすぐ下で前立腺を貫いて射精管となったもので、尿道の精丘に開いています。

⑤精囊

精囊(Seminal vesicle)は、膀胱の後方で精管膨大のすぐ、外側にあるー対の長さ3〜5cmの細長い袋です。下端は射精管に開いています。粘膜から弱アルカリ性ゼリー様の粘液を分泌します。

⑥前立腺

前立腺(Prostate gland)は、膀胱底に接するクリの実大の腺で多数の平滑筋を含む結合組織と30〜50個の単一管状胞状腺からなります。中央を尿道が、左右から射精管が通っています。乳白色のアルカリ性液を分泌し精子の運動を促進します。

高年になると良性肥大(前立腺肥大症)を起こすことがあり、その場合、尿の排泄が困難になります。

前立腺の下方に尿道球腺があり、それは尿生殖隔膜のなかにある大豆大の腺で、尿道海綿体後部に開きます。アルカリ性粘液を分泌し尿道を湿潤します。

男性生殖器詳細

(3)女性の生殖器

女性の生殖器は卵子をつくる①卵巣、これを運ぶ②卵管、受精卵を発育させる③子宮、産道をなす④膛および外陰部から成っています。

女性生殖器

① 卵巣

卵巣(Ovary)は、子宮の両側に一対ある母指頭大の実質器官で、卵子と女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)を分泌します。卵巣の内部には無数の卵胞(なかに1個の卵子を入れる)があります。これが成熱して胞状卵胞(グラーフ卵胞)となり、思春期以後はだいたい28日ごとに].個ずつ破れて卵子が排出されます。これを排卵と言います。

②卵管

卵管(Uterine tube)は、排卵された卵子を子宮に運ぶー対の線毛を有する管で、内側は子宮腔に連なり、外側端は腹腔に開きます。その縁から卵管采が広がり、卵巣から出された卵子を受けとめます。

③子宮

子宮(Uterus)は、骨盤内で膀胱と直腸の間にある前傾、前屈の中腔性の器官です。扁平な西・洋梨の形状をし、長さ約7cm、幅4cm、厚さ3cmの強い筋(子宮筋層)から成っています。内部に狭い逆三角状の子宮腔があり、下部は子宮口をもって膛に開きます。子宮壁は粘膜(子宮内膜)、筋層(内縦・中輪・外縦層)、漿膜の3層よりできています。子宮の固定装置として固有卵巣索、子宮円索があります。

④膣

膣(Vagina)は子宮につづく長さ約7cmの管で、産道を成します。直腸の前を下がり膛前庭に開きます。膣

(4)乳房

乳房(Breasts)は、大胸筋の筋膜の上にのっており、第3〜第7肋間、前腋窩腺、胸骨旁腺の間にあります。このなかに乳腺(複合管状胞状腺)が15-20個含まれます。乳房体は乳房の大部分を占め、乳腺と結合組織(ほとんど脂肪組織)から成ります。乳頭は大部分が輪走平滑筋から成り、乳頭表面に15-20個の乳管(乳頭の深部では乳管洞)が開口します。乳輪は乳頭周辺部の褐色郡で、その皮下組織に乳輪腺(モントゴメリー腺)があります。

3 内分泌系

(1)内分泌腺とホルモン

①内分泌腺

内分泌腺(Endocrine gland)は、ホルモンという特殊な化学物質を分泌して、これを導管によらないで直接血行に送る器官で、内分泌系に即します。これには下垂体・松果体・甲状腺・上皮小体・膵臓・副腎・性腺(精巣と卵巣)などがあります。内分泌系の機能は神経系の機能と深く関連します。

外分泌腺がつくる物質は導管を通って分泌されます。

②ホルモンの作用

ホルモン(Hormone)は、血液に入って全身を循環し、目的とする組織や細胞に化学的に作用し、その機能は、代謝・成長・発育などの調整をはかり、人体の正常な生理機能を円滑に行わせる働きをします。

(2)下垂体

下垂体(pituitary gland)は、間脳下部にある大豆大のもので、蝶形骨体背面の下垂体窩にあります。腺性下垂体(前葉・中間葉)と神経性下垂体(後葉)から成ります。

腺性下垂体は、視床下部の神経細胞から放出ホルモンと抑制ホルモンを分泌し、下垂体門脈を通って前葉の内分泌細胞に作用し前葉ホルモンを分泌します。

神経性下垂体は視床下部の神経細胞(視索上核・室傍核)で後葉ホルモン(バゾプレッシン・オキシトシン)を生産し軸索によって後葉に運ばれ分泌します。

(3)下垂体前葉の機能

①成長ホルモン

骨の成長発育を促進します。分泌過剰は巨人症や末端肥大症を起こし、分泌不足は小人症、シモンズ病となります。

②甲状腺刺激ホルモン

甲状腺に作用してサイロキシンの分泌を促進させ、基礎代謝を亢進します。

③副腎皮質刺激ホルモン

副腎皮質に作用してホルモンの分泌を促進させ、水分、塩類、糖の代謝を調節します。

④性腺刺激ホルモン

精巣と卵巣に作用してその成熟を促進し、男性ホルモンと女性ホルモンを分泌します。

⑤乳腺荊激ホルモン(プロラクチン)

乳腺に作用して乳汁分泌を促進します。

(4)下垂体後葉の機能

①オキシトシン

子宮筋に作用して妊娠末期に子宮筋を収縮させます。

②抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)

尿細管に作用して水分の再吸収を促進します。また末梢血管を収縮させ血圧を高めます。抗利尿ホルモンの分泌不足は1日の尿量が異常に多くなり尿崩症を起こします。

(5)甲状腺

甲状腺(Thymus)は、頸の喉頭の下に位置します。甲状腺組織内に多数の濾胞細胞からなる濾胞があり、サイロキシン(ヨードを含む)ホルモンを貯留します。また濾胞細胞の外側に傍濾胞細胞がありカルシトニンを分泌します。甲状腺の機能は、細胞の代謝機能を高め、食物からのエネルギー摂取を促進します。例えば、サイロキシンは細胞を刺激して代謝を促進します。基礎代謝を亢進させ、体温を上昇させ、心臓の機能も亢進し脈拍の増加をきたします。カルシトニンは血中のカルシウム濃度を低下させ、骨からのCaの放出を抑制し、骨の形成を促進します。甲状腺の機能が高まりすぎると、心悸亢進、甲状腺腫大、眼球突出を主徴とするバセドウ病を起こします。甲状腺の機能が低下すると、物質代謝が低下し、精神機能が衰え、皮膚が浮腫状になり粘液水腫を起こします。

(6)上皮小体

上皮小体(Parathyroid gland)は、副甲状腺と呼ばれるもので、米粒大の大きさで甲状腺の裏側に左右2個ずつ計4個あります。上皮小体から分泌されるホルモンをパラソルモンと呼び、機能は甲状腺ホルモン(カルシトニン)と逆になります。

上皮小体ホルモンは、血液中のカルシウム濃度の上昇、骨からカルシウムを遊離する働きがあり、このホルモンが不足すると血液中のカルシウムが減少して神経が過敏になり筋の痙攣を起こします。これをテタニーと言います。また、分泌が過剰になると骨のカルシウムが減少し骨軟化症を起こします。

(7)膵臓

膵臓(Pancreas)の内部にランゲルハンス島(0.1mm〜0.2mm)と呼ぶ細胞の集団が散在しています。膵島とも言います。このなかにアルファー細胞とベータ細胞があります。アルファー細胞はグルカゴン、ベータ細胞はインスリンというホルモンを血中に分泌します。

インスリンは肝臓、筋におけるグリコーゲンの生成を促進し、組織や筋におけるブドウ糖の燃焼を促進します。不足すると糖尿病を引き起こします。

グルカゴンは肝臓のグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を生成します。これは、低血糖によって分泌が増加します。インスリンは血糖値を低下させ、グルカゴンは上昇させます。

(8)副腎

副腎(Adrenals)は、左右の腎臓の上に乗っている三角形の内分泌腺です。副腎の組織は外層の皮質と内部の髄質から成り、それぞれ機能的に異なるホルモンを分泌します。

副腎皮質は3層の細胞群から成り、それぞれ異なったホルモンを分泌します。表面から深部に向かって、①球状帯(電解質コルチコイド)、②束状帯(糖質コルチコイド)、③網状帯(アンドロゲン)です。

①球状帯

電解質コルチコイド(アルドステロン)は尿細管に作用し、Kの排泄、Naの再吸収促進、細胞外液量の増加に作用します。

②束状帯

糖質コルチコイドはグリコーゲンの合成、たん白質から糖を新生し血糖値上昇、たん白質の分解、抗炎症作用を行います。

③網状帯

アンドロゲンは性ホルモンで、男性ホルモン活性化(男性化)に役立ちます。

副腎皮質機能が亢進するとクッシング病(肥満、高血圧、高血糖が主要症状)を引き起こし、機能低下はアジソン病(皮膚の着色)を引き起こします。

副腎髄質からはアドレナリンとノルアドレナリンが分泌され、その作用は交感神経興奮のときと同じような効果を現わします。作用は末梢血管を収縮させ、血圧を高め、心拍動を強め、瞳孔を散大させます。肝臓のグリコーゲンを分解しブドウ糖にかえ、血糖値を上昇させます。

(9)性腺

性腺(Gonads)は精巣と卵巣で、精巣は精子を、卵巣は卵子をつくるほかに、性ホルモンを分泌する内分泌腺です。性ホルモンは男性ホルモンと女性ホルモンがあります。

男性ホルモンは、精巣の間細胞(ライディヒ細胞)から分泌します。これをテストステロンと言います。その作用は生殖器の発育、二次性徴(ひげ、声がわり、骨格、筋の男らしさ)を促進します。

女性ホルモンは卵巣から分泌し、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類あります。卵胞ホルモン(エストロゲン)は卵巣中の成熟卵胞から分泌し、生殖器の発育、二次性徴の発現、乳腺の発達を促進します。子宮粘膜の周期的増殖を起こさせます。黄体ホルモン(プロゲステロン)は黄体から分泌し、卵胞の成熟をおさえ排卵を抑制します。子宮粘膜の腺分泌を高めます。妊娠を維持する作用や乳腺の発育を促進する作用があります。

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