解剖生理学2 筋系
1 骨格筋と運動
(1) 骨格筋
人体は、大小様々な400あまりの骨格筋で構成されています。骨格筋は体重の40~50%を占めます。その働きは、関節をはさんで骨と骨とを連結し、その収縮によって関節の運動をします。運動による筋の収縮と弛緩により、血液循環を促進し、第2の心臓とも言われます。
骨格筋は、身体の外形を保ち、グリコーゲンの貯蔵などの大切な働きもします。
筋の表面は丈夫な筋膜で包まれ、両端は腱で骨に付着しています。腱の一方を筋頭、他方を筋尾、その中央部を筋腹と言います。筋頭は筋の起始で運動の際には固定し、筋尾は停止とも言われ運動の際によく動きます。
筋は収縮によって関節の運動をしますが、その作用によって、次のように分類されます。
①屈 筋=関節を曲げる筋
②伸 筋=関節を伸ばす筋
③外転筋=上肢・下肢を体幹から遠ざける筋
④内転筋=上肢・下肢を体幹のほうに近づける筋
⑤回内筋=前方に向けた手掌を内方から後方に回す(回内運動をする)筋
⑥回外筋=後方に向けた手掌を内方から前方に回す(回外運動をする)筋
(2)協力筋と括抗筋
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- 協力(協同)筋=主力筋による動作の方向に、協同して働く他の筋
※例:腕を挙上するとき三角筋が主力筋となり上腕筋群が協力筋となります。 - 括抗筋=主力筋の動作に相反する方向の運動を行う筋
※例1:握り拳を作り手首を掌屈すると、前腕の榛側手根屈筋・尺側手根屈筋は収縮し、反対に尺側手根伸筋は弛緩します。
※例2:肘を曲げ力こぶを作ると、上腕二頭筋は収縮し、反対に上腕三頭筋は
※例3:膝の曲げ伸ばしで、大腿二頭筋と四頭筋の収縮と弛緩。
- 協力(協同)筋=主力筋による動作の方向に、協同して働く他の筋
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(3)筋運動の補助器官
筋運動の際の補助的な器官は、筋が運動する際に運動が円滑に行われるように助ける器官で、腱鞘、滑液包、種子骨などがあります。
- 腱鞘(滑液鞘)
長い腱を鞘状に取り巻いているもので、内面に滑膜があり、滑液を分泌し腱の運動を滑らかにします。ここの炎症を腱鞘炎といいます。 - 滑液包
腱が骨に付着するところの間にあり、ふくろ状のもので、なかに滑液を入れ摩擦を防いでいます。 - 種子骨
腱のなかにある小さい骨で、摩擦を防ぎ運動が円滑に行われるようにします。膝蓋骨も種子骨の一種で、種子骨の中で一番大きい骨です。
(4)筋の神経
筋には、運動神経と知覚神経が働いています。筋線経の運動神経の終末を運動終板といい、中枢からの命令を伝えて運動を起こします。
知覚神経の終末に筋紡錘とを腱紡錘があって、筋の緊張、興奮を中枢に伝え運動を調節します。
運動神経は、筋内に入り、数本から数百本以上の枝を出し、多数の筋線経を支配します。運動神経1本が支配する筋線維群を運動単位といい、また1本の運動神経が何個の筋線経を支配するかを神経支配比といいます。眼筋や手筋など細かい運動をする筋は神経比が小さく、体幹筋の様に大きな運動をする筋では神経比が大きくなります。
運動神経は筋内で多数に枝分かれし、運動終板として筋線経に接します。運動神経のインパルスが終板に達するとアセチルコリンが放出され、筋線経の受容器と結合し活動電位を発生し筋収縮を起こします。これを神経筋伝達といいます。
2 頭部の筋
(1)浅頭筋
浅頭筋は、頭蓋骨から起始して顔面の皮膚に停止する小さな皮筋です。収縮により顔の表情を作るので、表情筋や顔面筋とも呼ばれます。
浅頭筋は、顔面神経の支配を受けます。顔面神経麻痺の際は筋運動が不能になるため、表情運動ができなくなります。
浅頭筋には次の筋があります。
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- 頭蓋表筋
- 後頭前頭筋は、前額に横のシワを作ります。
- 限瞼裂周囲の筋
- 眼輪筋は、眼を閉じる動きをします。
- 皺眉筋は、眉間に縦のシワを作ります。
- 眉毛下制筋は、眉毛を下げる動きをします。
- 鼻根筋は、眉間に横ジワを作ります。
- 口裂周囲の筋
- 口輪筋は、口を閉じて、口をとがらせます。
- 上唇挙筋・上唇鼻翼挙筋・小頬骨筋は、上唇を引き上げます。
- 大頬骨筋は、口角を引き上げます。
- 頬筋は、頬をつぼめます。
- 笑筋は、えくぼをつくります。
- 下唇下制筋は、下唇を引き下げます。
- オトガイ筋は、オトガイ部にシワを作ります。
- 頭蓋表筋
(2)深頭筋
深頭筋は、下顎骨に付着して下顎を引き上げ、阻囁運動を行うので阻囁筋とも言われます。唆筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋が4対、顔の左右にそれぞれあります。
唆筋は、耳垂の前でふれる筋です。側頭筋は、コメカミの少し上でふれます。内側翼突筋と外側翼突筋は両筋とも頬の奥にあります。
深頭筋は、三叉神経の第3枝の下顎神経によって支配されます0
3 頚部の筋
頚部の筋は、頭部や頚部の運動だけでなく、発声や呼吸にも関係し、皮下頸筋、前頭筋、外側頸筋、後頚筋に分類され、それぞれの筋にはさらに機能により次のように分けられます。
(1)皮下頸筋
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- 広頬筋
動物などでよく発達し、頚部の皮膚を動かします。
- 広頬筋
(2)前頭筋
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- 舌骨上筋
顎二腹筋、茎突舌骨筋、顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋から成り、これらの筋は共働して、開口、囁下、発声、発音を助けます。 - 舌骨下筋
- 舌骨上筋
胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋から成り、これらの筋は共働して、開口、囁下、発声、発音を助けます。
(3)外側頚筋
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- 胸鎖乳突筋
筋の両側が同時に働くと顔をやや上方に向け首をすくめる運動を、片側のみが働くと反対側に顔を回し斜め上方に向かせる運動をします。
- 胸鎖乳突筋
(4)後頸筋
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- 斜角筋
前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋から成り、吸気と頭の前屈を行います。 - 椎前筋
頸長筋、頭長筋、前頭直筋、外側頭直筋から成り、頭と頚の前屈と側屈を行います。
- 斜角筋
筋の起始と停止【1】胸鎖乳突筋
4 胸部の筋
(1)浅胸筋と深胸筋
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- 浅胸筋
胸の浅層にあり、すべて胸郭から起始し、上肢帯骨または上腕骨に付着し停止します。主に、上腕と肩の運動を行い、腕神経叢に支配されます。大胸筋、小胸筋、鎖骨下筋、前鋸筋から成ります。 - 深胸筋
胸筋の深層にあり、胸郭の内・外面あるいは肋間隙にあります。胸郭の運動を行う重要な呼吸筋です。肋骨挙筋を除いて、他はすべて肋間神経の支配を受けます。外肋間筋、内肋間筋、肋下筋、胸横筋、肋骨挙筋から成ります。
- 浅胸筋
(2) 横隔膜
横隔膜は、胸腔と腹腔の境をする筋板で、胸腔に向かって広がっています。剣状突起、肋骨弓の内面、腰椎の前面から起始し、胸腔に向かって円蓋状をなし、中心部の腱中心に集まり停止します。横隔膜の位置は平均して右側が高く第5肋軟骨上線に、左側は第5肋間隙です。作用は、呼吸筋により収縮して胸腔を広げ吸気を行い、腹圧を高めます。神経は、横隔神経が支配します。横隔神経麻疹の場合は、横隔膜は挙上し胸腔は狭くなります。
また横隔膜は、胸腔と腹腔を通ずるつぎの3つの孔によって黄かれています0
食道裂孔には食道と迷走神経が通ります。大動脈裂孔には大動脈と胸管が通りま
す。大静脈孔は下大静脈が通ります。
筋の起始と停止【2】浅胸筋
筋の起始と停止【3】深胸筋
5 背部の筋
(1)浅背筋
浅背筋は、脊柱または腸骨から起始し、上肢帯骨と上腕骨に停止します。浅背筋は上肢と訝骨の運動を行い、腕神経鮎頸神経叢の支配を受けます。僧帽筋、広背筋、菱形筋、肩甲挙筋などがあります。
(2)深背筋
深背筋は、背筋の深層にあり、胸椎から起始し肋骨に停止して肋骨の運動を行う上・下後鋸筋と、脊柱の両側を腰部から後頭部にかけ縦に走る固有背筋群があります。固有背筋群には、頭の回転動作を行う板状筋と、脊柱の運動を行う脊柱起立筋があります。上・下後鋸筋は肋間神経、ほかは脊髄神経の後枝に支配されます。
筋の起始と停止【4】浅背筋
筋の起始と停止【5】深背筋
6 腹部の筋
腹部の筋は、前屈に働く腹直筋、錐体筋などの前腹筋、回旋に働く外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋などの側腹筋、後屈に働く腰方形筋などの後腹筋から構成されています。
前腹筋は、前腹壁の正中線の両側を縦に走る筋で、主として脊柱を前方に曲げる作用をします。肋間神経と腰神経帯が支配します。
側腹筋は、腹壁の大部分をつくり、3層からなります。第5以下の肋骨、腸骨稜、腰腱膜から起始し腹直筋鞘に停止します。作用は、脊柱の前屈、回旋・腹圧を高めます。また、腹式呼吸を助け肋間神経と腰神経叢の枝に支配されます。
後腹筋は、腰椎の両側にあり、腸骨稜から起始し第12肋骨に停止して腰椎の側屈などに作用し腰神経叢の支配を受けます。
筋の起始と停止【6】前腹筋
筋の起始と停止【7】側腹筋
筋の起始と停止【8】後腹筋
鼠径靭帯は、上前腸骨棟と恥骨結節の間に張る外腹斜筋の腱弓の発達したもので、体幹と大腿の境にみられます。鼠径靭帯と恥骨上枝の間に筋裂孔(腸腰筋の腱、大腿神経が通ります)と血管裂孔(大腿動静脈が通ります)があります。鼠径管は、鼠径靭帯の内側の直上にある長さ4~5cmの管で、腹壁を貫いています。男では精索、女では子宮円索(子宮の固定装置)が通ります。
7 上肢の筋
(1)上肢帯
上肢帯を構成する筋は、三角筋、鰊上筋、鰊下筋、小円筋、大円筋、有甲下筋などで、すべて鎖骨、肩甲骨などの去肢帯骨から起始し上腕骨に停止し・上腕の外転・回旋運動などを行い、腕神経叢の枝の支配を受けます。
筋の起始と停止【8】上肢帯筋
回旋腱板は、肩関節の脱臼を防ぐ働きをします。辣上筋、赫下筋、小円筋、肩甲下筋の4筋は肩甲骨から起こり、板状の腱となって肩関節を上・前・後から囲み、停止し、これを補強します。
(2)上 腕
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- 屈筋
上腕の前面にある上腕二頭筋、上腕臥烏口腕筋などが屈筋です0肩甲骨または上腕骨から起始し上腕骨および前腕骨に停止します。主として前腕を屈曲し、上腕を前方に上げ、筋皮神経の支配を受けます。 - 伸筋
上腕の後側にある上腕三頭筋、肘筋などは伸筋です。肩中骨または上腕骨から起始し、尺骨に停止します。主として前腕を伸展して、橈骨神経に支配されます。
- 屈筋
筋の起始と停止【9】上腕屈筋群
筋の起始と停止【10】上腕伸筋群
(3)前 腕
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- 屈 筋
前腕の前面にある円回内筋、榛側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋、方形回内筋は屈筋で、上腕骨または前腕骨から起始し、手の骨に至り停止しす。主に手相の屈曲、指の屈曲、一部は前腕の回内運動に作用し、正中神経、尺骨神経の支配を受けます。
- 屈 筋
筋の起始と停止【11】前腕屈筋群
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- 伸 筋
前腕の横側と後面にある腕榛骨筋・長横側手相伸筋、短槙側手相伸筋、指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋は、上腕骨または前腕骨の後面から起始し、主に手の骨に至り停止します。
手根の伸展、指の伸展、一部は前腕の屈曲と回外運動に作用し、槙骨神経の支配を受けます。
- 伸 筋
筋の起始と停止【12】前腕伸筋群
(4) 手
手の筋は、母指の基部のふくらみの母指球筋を短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋が構成し、小指球の基部のふくらみの小指球筋を短掌筋、小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋が構成している。他に虫様筋、骨間筋で構成される中手筋があります。
中手筋は、手掌の中央にあり虫様筋と骨間筋からなります。虫様筋は、4個からなるの小さい筋で、深指屈筋の腱より起始し、第2~第5指の指背腱膜に付着停止します。第2~第5指の基節を曲げ、その中節と末節を伸ばす働きをします。神経は、正中神経と尺骨神経が支配します。
骨間筋は、掌側骨間筋(3個)と背側骨間筋(4個)からなります。それぞれ中手骨から起始し指背腱膜に停止し、尺骨神経の支配を受けます。
背側骨間筋は第3指を軸にして第2・第4指を開き、第3指を左右に動かします。
掌側骨間筋は第3指を軸にして、第2・第4・第5指を閉じます。
手根管は、手根骨の掌面の溝に屈筋支帯が張ってつくられる管で、中を正中神経と浅・深指屈筋、長母指屈筋の腱を通しています。
筋の起始と停止【13】母指球筋詳
筋の起始と停止【14】小指球筋群
8 下肢の筋
(1)下肢帯
下肢帯の筋は、寛骨筋または骨盤筋とも呼ばれます。寛骨筋は、骨盤の後壁の前にある内寛骨筋と、骨盤の後ろにある外寛骨筋に分けられます。
-
- 内寛骨筋
内寛骨筋は、骨盤後壁の前面にあり、腸腰筋とも呼ばれ、大腰筋・小腰筋・腸骨筋をまとめて言います。腰椎・腸骨の内面から起始し大腿骨の小転子に停止します。大腿の屈曲作用を行い、腰神経叢の支配を受けます。 - 外寛骨筋
外寛骨筋は、骨盤の後壁にあり、大殿筋、中殿筋、小殿筋、梨状筋、内閉鎖筋、双子筋、大腿方形筋、大腿筋膜張筋をまとめて呼びます。仙骨または寛骨から起始し大腿骨に停止します。作用は大腿の後方伸展、外転、回旋運動を行います。仙骨神経叢の支配を受けます。
- 内寛骨筋
筋の起始と停止【15】内寛骨筋
筋の起始と停止【16】外寛骨筋
(2)大 腿
大腿部には大腿の動作を行うのにたくさんの筋が関係します。大腿の全面部には伸筋群、内側には内転筋群、後面には屈筋群があります。
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- 伸筋
縫工筋、大腿四頭筋などの伸筋は、大腿の前面にあって、腸骨または大腿骨から起始し、脛骨に停止します。作用は下腿の伸展、神経は大腿神経に支配されす。 - 内転筋
恥骨筋、薄筋、長内転筋、短内転筋、大内転筋、外閉鎖筋などの内転筋は、大腿の内側にあり、寛骨から起始し、大腿骨または脛骨に停止します。作用は大腿の内転を行い、腰神経叢の支配を受けます。 - ③屈筋
大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋などの屈筋は、大腿の後側にあって、坐骨や大腿骨から起始し、下腿骨に停止します。作用は、下腿の屈曲、大腿の後方伸展を行い、坐骨神経の支配を受けます。
- 伸筋
筋の起始と停止 【17】 大腿伸筋群
筋の起始と停止【18】大腿内転筋群
筋の起始と停止【19】大腿屈筋群
(3)下 腿
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- 伸筋
伸筋には前脛骨筋、長母指伸筋、長指伸筋、第3俳骨筋があり、下腿の前側にあって脛骨または俳骨から起始し足の骨に停止します。足の背屈や、指の伸展などの動作を行います。神経は総排骨神経の支配を受けます。 - 排骨筋
俳骨筋は、長俳骨筋、短排骨筋から成ります。下腿の外側、いわゆる俳骨の上にあり、排骨に起始し、足の骨の底側に停止します。足の外反作用を行い、総排骨神経に支配されます。 - 屈筋
屈筋には、下腿三頭筋、足底筋、膝裔筋、後脛骨筋、長指屈筋、長母指屈筋があります。下腿の後側に位置し、大腿骨または脛骨、排骨の後面から起始し、足の骨に停止します。足の底屈や指の屈曲に作用し、脛骨神経に支配されます。
- 伸筋
筋の起始と停止【20】下腿伸筋群
筋の起始と停止【21】排骨筋
筋の起始と停止【22】下腿屈筋鮮
9 足の筋
足の筋は甲側の足背筋と足裏の足底筋に分けられ、足底筋はさらに母指の基部にある短母指球筋、小指の基部にある小指球筋、中足部にある中足筋に分類されます。足背筋は伸筋で深俳骨神経の支配を、足底筋は屈筋で内側俳骨神経と外側足底神経の支配を受けます。
筋の起始と停止【23】足背筋
筋の起始と停止【24】母指球筋
筋の起始と停止【25】小指球筋
筋の起始と停止【26】中足筋
10 筋の収縮と疲労
(1)筋の収縮
筋の収縮は、筋線経の表面に運動神経からの刺激で行われます。そのメカニズムは、運動神経からの刺激により活動電位が発生し、Caイオンが放出されフィラメントに作用し、その作用でミオシンフィラメントの上をアクチンフィラメントがすべるように動きます(滑走説)。この収縮のためのエネルギーはアデノシン三リン酸の分解作用によります。収縮には次のものがあります。
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- 単収縮
筋に短い刺激が1回加わると1回だけ収縮します。 - 強縮
一定の間隔をおいて繰り返し刺激が加わると筋は持続的に強い収縮を起こします。強鮪は単収縮の加重されたもので、生体の筋運動はこの強稀によって行われます。 - 等尺性収縮
筋の両端を固定して刺激すると、筋は短縮することはできないが張力を増します。 - 等張性収縮
筋の一端に重りをつけて刺激すると、そのおもりを引きあげて収縮します。 - 筋緊張
生体の筋はたえず中枢神経からの刺激が加わっているため、弱い強縮状態にあります。これを筋緊張といいます。
- 単収縮
(2)筋の疲労
筋に繰り返し刺激を加えると、初めは収縮をつづけますが、長時間にわたり刺激を与えると筋の収縮はだんだん小さくなり、ついに収縮しなくなります。これを筋の疲労といいます。このとき神経終末のアセチルコリン放出量低下、筋中グリコーゲンの不足、酸素の欠乏、乳酸および炭酸ガスの蓄積が起こり、疲労を起こす重要な因子となります。一部乳酸は、グリコーゲン生成の材料となります。また蓄積した乳酸は水とC02となり、排出されます。
(3)白筋と赤筋
筋線経の酸素運搬蛋白であるミオグロビンと血管の量により白筋と赤筋に種別され疲労が異なります。
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- 白 筋
白筋は、速筋とも呼ばれ、ミオグロビンが少ないため酸素供給が弱く、収縮時間も速く疲労しやすい筋です。代表的な筋は前脛骨筋です。 - 赤筋
赤筋は、遅筋とも呼ばれ、ミオグロピンが多く存在し、収縮時間が遅く持続的に収縮し、疲労に強い筋です。姿勢保持に作用する筋などが赤筋です。代表的な筋としてヒラメ筋があげられます。
- 白 筋
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